原作:小説 著者:佐藤正午
監督:タカハタ秀太
主な出演者
・藤原竜也 ・土屋太鳳
・風間俊介 ・西野七瀬
・豊川悦司
<紹介・感想>
原作は読まずに映画を見ました。
映画の冒頭、少したってから、「これは思い出話しか?」と匂わせておいて間もなく、小説のネタ(題材)であることが判明する。主演の小説家は、過去に実際に起きたことを小説にしたため、表舞台から姿を消していた男(藤原竜也)。今回書いている小説も、前回同様、ノンフィクションではないかと疑う出版社の編集者。映画の中盤からは、編集者の推察通り、小説がノンフィクションであることが判明し、小説の続きが現在進行形で進められていく映画内容であった。
上記の主な出演者の5人は、いずれも俳優として申し分ないくらい、「演技を上手く見せられている」と感じさせられた。西野七瀬もアイドル出身とはいえ、役どころを上手く押さえた演技をしていた。むしろその他大勢の女優なんかよりよっぽど良かったと感じた。
藤原竜也は、映画「藁の楯」、「カイジ」シリーズの影響か、ダメ人間としての役柄が板についている。その影響のせいか、どことなく前述2作品と人物像が被る。どん底から這い上がる必死さを魅せる演技は藤原独特のものがあり、見る人を魅了させる。
映画はいくつかの謎を残して終わる映画だが、個人的には、謎を全て解明してから終わって欲しいと感じた。「一家三人の失踪事件」、「偽札を作った(持ち込んだ)理由」を明らかにして欲しかった。もしかすると原作の小説には書いてあるのかもしれない。おそらく原作はもっと内容も文字量も重厚なものだが、映画のために内容をかなり圧縮したと推察される内容であった。
映画・脚本共に、ミステリーとサスペンスを、普通の映画とは若干変わった視点から撮った作品であった。内容と謎解きを理解するのに必死で、感情移入するまで至らなかった。2回目を見たら謎も理解でき、役者(特に風間俊介)をもっと楽しめるのではないだろうか。