原作:小説 著者:佐藤泰志
監督:斎藤 久志
主な出演者
・東出昌大 ・奈緒
・大東駿介 ・室井滋
<紹介・感想>
自律神経失調症の主人公を描いた映画。僕はうつ病だが、同じ精神疾患を患う者として興味が沸いて見た作品である。
自律神経失調症の主人公は、毎日の心情の変化が激しい。元気な日もあれば、気力がない日もある。いきなり泣くこともあれば、いきなり走り出すこともある。
第三者から見れば、「何故、こんなに人格がコロコロ変わるのか?」と思うことだろう。しかし、うつ病の僕にはとても良く理解できる。精神疾患者は毎日がジェットコースターのように心情が変化するのだ。
しかしながら、心情の変化の激しさを知る僕にでも、映画の主人公は「自分勝手」に映る。僕もうつ病の時は、妻や廻りの人から自分勝手な人間と思われていたことだろう。
物語のラストは妻が家から出て行った。夫から離れたのだ。自分はそうならないよう、うつ病であっても妻の気持ちを組みたいと感じた。
主人公の彼が実在するとしたら、これから信頼を取り戻すのは大変なことだろう。僕にも同じことが言える。だが、他人に囚われていては、精神病からの回復も、人間としての成長もない。結局は自分で決めて動いて、また病気になって、また回復して、また動いて、病気になる。精神疾患者はこの繰り返しだ。精神病が完治するということはないだろう。
精神病の世界では、病気が治る「完治」ではなく、「寛解」という言葉をよく使う。「寛解」とは、一時的に症状がよくなったり、治ったように見える状態であり、いつ再発してもしておかしくない状態のことである。いかに再発を防止するかが大切なのだ。僕も今でこそ「寛解」状態だが、ちょっとしたことですぐに「うつ状態」になってしまう。いかにして再発しないようにするかが大切なのだ。
映画の全体の感想だが、うつ病、精神疾患の患者の状態・容態を知るにはよい映画であるが、全体的にはパッとしない映画であった。僕自身、うつ病なので、主人公が毎日走る衝動がわかる。
僕もよく走っている。再発防止のためだ。